スクワットで膝が痛いときは?見直したい動きと受診の目安

スクワットで膝が痛いときは、深さ・重さ・回数を見直し、受診の目安を確認する 痛みと運動

「スクワットをすると膝が痛い。フォームが悪いの? それとも、もうやめたほうがいい?」

脚を鍛えたいのに痛みが出ると、続けてよいか迷いますよね。まずはそのセットを止めて、膝の状態を確認しましょう。

先に結論
強い痛み・腫れ・体重をかけられない症状があれば、フォームの修正より受診を優先します。そうした症状がない場合も、痛みを我慢して同じスクワットを続けず、深さ・重さ・回数を下げて反応を見ることが基本です。

この記事では、スクワットという動作に絞って、見直す順番と医療機関へ相談する目安を整理します。痛む場所だけで病名を決めることはできません。すでに診断を受けている方、手術後の方、運動制限がある方は、担当の医療者の指示を優先してください。

まず確認|スクワットを中止して受診したい症状

次のような症状があるときは、運動を中止し、速やかに医療機関へ相談してください。発熱を伴って膝が赤く熱い、体重をかけられない、変形がある場合などは、速やかな受診が必要です。夜間・休日は救急相談や救急外来を利用してください。[1]

  • 膝の痛みが非常に強い、立つ・歩くことが難しい
  • 大きく腫れている、形がいつもと違う
  • 引っかかって膝が動かない、急に膝が抜けるように崩れる
  • 膝の赤みや熱っぽさに、発熱・悪寒が重なる

緊急の症状がなくても、痛みが繰り返す・悪化する・日常生活に支障があるなら、整形外科などへ相談しましょう。「何週間か待たないと受診できない」ということではありません。

なぜスクワットで膝が痛くなるの?

スクワットでは、膝だけでなく股関節や足首も一緒に動きます。同じ「10回」でも、しゃがむ深さ、持つ重さ、動き方によって関節にかかる負荷は変わります。

膝のお皿の周囲や奥が、スクワットや階段で痛む状態の一つに、膝蓋大腿痛(しつがいだいたいつう)があります。ただし、スクワット中の膝痛がすべてこれに当てはまるわけではありません。[5]

「筋力不足だから」「膝が内側に入るから」と、見た目だけで原因を一つに決めないことが大切です。いつから痛いか、けがのきっかけがあるか、腫れていないか、日常動作でも痛むかを合わせて考えます。

相談するときのメモ
「どこが」「いつから」「どの動作で」痛むかに加え、最近変えた重さ・回数・頻度を記録しておくと、状況を伝えやすくなります。

見直す順番|深さ・重さ・回数から調整する

ここからは、上の受診サインがなく、普段の歩行などができる方に向けた一般的な調整例です。痛みの原因を確かめるために、何度も痛い動きを繰り返す必要はありません。

1.痛む深さまでしゃがまない

深くしゃがんだところで痛むなら、まずは浅い範囲にします。スクワットの深さと外から加える重さは、膝のお皿と太ももの骨の間にかかる負荷に影響します。ただし、深さと重さの組み合わせで結果は変わり、「深いほど必ず危険」という単純な関係ではありません。[3]

ただし、これは「深いスクワットは膝を壊す」という意味ではありません。関節にかかる力を調べた研究だけでは、その人の痛みの原因や、将来のけがまでは判断できません。今の状態に合う範囲を選びましょう。

2.重りを外し、回数・セット数も控えめにする

バーベルやダンベルを使っているなら、軽くするか、いったん重りを外します。「軽くしたから回数を倍にする」のではなく、運動量全体を控えめにして反応を確かめます。動く範囲や回数を減らすことは、膝蓋大腿痛の運動調整にも用いられます。[3][5]

一度にすべてを変えると、何が合っていたのか分かりにくくなります。安全に試せる状態なら、変更した点を記録してください。それでも痛む場合は、その日のスクワットは見送りましょう。

3.足裏を安定させ、無理のない動きにする

足幅は腰幅から肩幅程度を出発点に、窮屈でない位置へ。足裏が安定し、膝がおおむねつま先の方向へ動くかを確認します。無理に膝を外へ押し広げたり、反動で立ち上がったりする必要はありません。[5]

体格や動かせる範囲が違うので、全員を同じ形にそろえることが目的ではありません。動画を撮る場合も、フォームを確認するために痛みを再現し続けないようにしましょう。

スクワットの負荷を減らす三つの項目。痛む深さまで下りない、重りを軽くする、回数とセット数を控える。軽くしても回数を倍にしない。
受診を要する症状がない場合の調整例です。痛みが続くなら、調整を繰り返さず相談しましょう。

調整しても痛むなら、その日は別の予定にする

重りを外し、浅い動きにしても痛む場合は、さらに別のフォームを次々と試すより、その日のスクワットを中止します。痛みが出るたびに「正しい形を見つければできるはず」と何度も繰り返す必要はありません。歩行や階段にも痛みがあるなら、生活への影響も含めて相談してください。

脚の運動を休んだからといって、上半身の運動なら必ずできるとも限りません。立って重りを持つ、器具を運ぶ、床から立ち上がるときにも膝を使います。準備と片付けまで含めて無理がないかを考え、迷う日は負荷を上げない選択をします。

膝がつま先より前に出たら、危険?

それだけで危険とは判断できません。膝の前方への動きを制限すると、膝にかかる力が減る一方、股関節側に負担が移ることを示した実験があります。[4]

そのため「膝を絶対に前へ出さない」と意識しすぎて、上体を大きく倒すことが、誰にとってもよい方法とは限りません。一方、膝が痛む人では、動く範囲を一時的に調整することが選択肢になります。

この研究は筋トレ経験のある男性7人が、体重と同じ重さのバーベルで行った実験です。膝痛のある初心者に、そのまま最適なフォームを指定する研究ではありません。「つま先を越えても必ず安全」「越えると必ず痛む」という線引きには使えません。つま先の線だけでなく、痛み・安定性・深さ・重さを合わせて見ましょう。

再開するときの例|浅いスクワットから確かめる

強い症状がなく、日常動作が落ち着いている場合の確認手順です。治療メニューや、誰にでも適した回数の処方ではありません。

  1. 重りを持たずに始める。転ばない環境を用意し、必要なら動かない手すりなどに軽くつかまります。
  2. 浅く、少ない回数で確かめる。回数を達成するために痛みを我慢せず、鋭い痛みや痛みの増加、膝が崩れる感覚があれば中止します。
  3. 直後と翌朝を比べる。歩行や階段が前よりつらくなっていないか、腫れが出ていないか確認します。悪化した場合はその運動を見送り、負荷を減らす方向で見直します。症状が続く場合や腫れが出た場合は相談します。[5]
  4. 落ち着いてから、一項目ずつ増やす。深さ・回数・重さを同時に増やさず、反応を確認しながら進めます。

「痛みが10段階で何点以下なら必ず安全」という共通ルールはありません。診断を受けて運動療法をしている方は、担当者と決めた痛みの目安に従ってください。

「翌朝はどうだったか」まで書くと、相談にも使える

次の表は、記録の書き方を説明する架空の例です。治療効果や安全性を判定する数値ではありません。痛みを何点と書くかよりも、前回と何が違い、生活で何が困ったかを残すことを優先できます。

記録すること書き方の例
変えた内容重りを外し、深さと量を控えた
運動中と直後痛みが増えたため中止した
翌日の生活歩行は普段どおりだが、階段で痛む

「運動中はできた」という一行だけだと、あとから症状が増えたことを見落としやすくなります。寝るときに痛みが気になったか、翌朝の立ち上がりや階段が変わったか、腫れが出ていないかも見ます。翌日が落ち着いていたことだけで安全を保証できるわけではありませんが、負荷を調整するための材料になります。[5]

スクワット再開時は運動中、直後、翌日の生活を確認する。痛みの増加、歩行や階段への影響、腫れを記録して負荷を調整し、続く痛みは相談する。
次に増やすかどうかは、運動中の感覚だけで決めないことが大切です。

受診するときは、この記録と「いつから痛むか」「ひねった、転んだなどのきっかけがあるか」を伝えましょう。フォーム動画がなくても相談できます。動画を撮るために痛みを再現したり、強く痛む場所を何度も押したりする必要はありません。

休み続けるしかない? 運動を続けるための考え方

膝が痛いときに、いつものスクワットを休むことと、今後ずっと脚を鍛えられないことは別です。

膝蓋大腿痛に関する2024年のベストプラクティスガイドでは、状態を理解するための説明と、膝を中心に必要に応じて股関節も鍛える運動療法が、対応の柱とされています。このガイドは、研究結果に加えて患者と臨床家の意見も統合したものです。[2]

ただし、これは診断前のあらゆる膝痛に、同じ運動を勧めるものではありません。適した種目や量は個別に選びます。スクワットで痛みが続くなら、整形外科などで状態を確認し、必要に応じて理学療法士と再開の方法を相談してください。

よくある質問

膝がポキポキ鳴るだけでも中止したほうがいい?

痛みのない音だけなら、必ずしも異常とは限りません。一方、音と一緒に痛み・腫れ・引っかかりがあるなら、音だけの問題として扱わず相談してください。[1]

膝の内側が痛いなら、フォームが原因?

場所だけでは原因を決められません。「内側が痛いから、この筋肉を伸ばせば治る」と自己判断せず、痛みが続く・繰り返す場合は評価を受けましょう。

サポーターやテーピングを使えば、いつもの重さでできる?

装着したことは、元の負荷に戻してよい証明にはなりません。テーピングなどは、状態に応じて選ぶ補助的な方法です。痛みの確認や負荷の調整を省略しないでください。[2]

まとめ|痛みを我慢せず、続けられる負荷を選ぶ

  • 最初に受診サインを確認。強い痛みや腫れがあれば、フォーム修正を試す前に相談する。
  • 深さ・重さ・回数から見直す。膝がつま先を越えるかだけで、良し悪しを決めない。
  • 運動中だけでなく、その後も確認。無理に続けず、繰り返す痛みは医療機関で評価を受ける。

今日の予定をこなすことより、次も無理なく動けることを大切にしましょう。

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参考資料

公的医療機関の案内、臨床ガイド、動作を調べた研究を参照し、一般向けに整理しました。研究で推定された関節の負荷と、実際の痛み・けがの発生は同じものではありません。資料確認日:2026年10月7日。

  1. NHS. Knee pain(受診が必要な症状)
  2. Neal BS, et al. 2024. Best practice guide for patellofemoral pain based on synthesis of a systematic review, the patient voice and expert clinical reasoning. Br J Sports Med. 58:1486–1495.(膝蓋大腿痛に対する運動療法と教育)
  3. Zavala LJ. 2019. Patellofemoral joint loading in females during back squats of varying depth, weight load, and stance width. Montana State University、修士論文、第3章(深さと負荷の組み合わせを調べた実験。痛みやけがの発生を直接評価した研究ではない)
  4. Fry AC, Smith JC, Schilling BK. 2003. Effect of knee position on hip and knee torques during the barbell squat. J Strength Cond Res. 17:629–633.(膝の前方移動の制限と負荷の配分)
  5. Dynamic Health, NHS. Patellofemoral knee pain(動き・運動量・運動後の症状の確認)

この記事は一般的な健康情報であり、個別の診断・治療や運動の安全性を保証するものではありません。症状がある方は医療機関へご相談ください。免責事項 / 執筆者について

この記事を書いた人
理学療法士

理学療法士/「ひじりの筋トレ健康ノート」運営者。病院で理学療法士として働いています。筋トレの始め方や健康づくり、痛みが気になるときの運動の考え方を、参考資料を示しながら分かりやすくお伝えします。

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