スクワットをしている途中で、「今、吸うんだっけ? 吐くんだっけ?」と考え込んだことはありませんか。呼吸を意識したら、かえって息が止まってしまう方もいるかもしれません。
重りを持たない軽いスクワットなら、「しゃがむときに吸う・立つときに吐く」を基本にしましょう。まずは浅い動きで、呼吸を続けられる範囲から慣れていきます。[1]
タイミングを完璧に合わせるために、苦しくなるまで息を止める必要はありません。この記事は、一般の成人が軽いスクワットを始める際のガイドです。高重量のバーベルを扱う呼吸技術とは分けて考えます。
この記事では、動きと呼吸の合わせ方、うまくいかないときの練習順、「お腹に力を入れる」と息こらえの違いを整理します。回数を増やす前に、まず一つの動きを落ち着いて確かめましょう。
胸の痛み、めまい、普段と違う息苦しさがあるときは、呼吸の練習として続けないでください。運動を中止し、症状に応じて医療機関へ相談します。突然の胸痛が続く、胸痛に冷や汗や息苦しさなどが伴う場合は、日本では119番で救急を要請してください。[4]
スクワットは「しゃがむときに吸い、立つときに吐く」
まずは、動きを二つに分けて覚えると迷いにくくなります。ACEの自重スクワットの解説では、下がる動きで吸い、元の立ち姿勢へ戻るときに吐くよう案内しています。[1]
| 動く場面 | 呼吸の合わせ方 |
|---|---|
| 始める前 | 立った姿勢で落ち着いて呼吸する。何度も大きく吸い込もうとしなくてよい。 |
| お尻を下げるとき | 無理のない範囲で息を吸う。深さや速さを欲張らず、浅い動きから。 |
| 立ち上がるとき | 息を吐きながら戻る。「ふー」と軽く吐くイメージを使ってもよい。 |
| 次の1回へ進む前 | 苦しくないか、動きが落ち着いているかを確認。必要なら休む。 |
表の「ふー」という声かけや、開始前に確認する手順は、基本を練習しやすくするための本記事の提案です。吐く音の大きさや、吸う秒数を決めた試験ではありません。

なぜ立つときに吐くの?まずは息を止め続けないため
一般向けの筋トレ指導では、力を出して重りを上げるときに吐き、下ろすときに吸う、という合わせ方が使われます。Mayo Clinicも、呼吸を止めずにこのように合わせることを案内しています。[2]
自分の体を持ち上げるスクワットでは、「立つときに吐く」と考えると、動きに結び付けやすくなります。ただし、この呼吸だけで筋力が大幅に増える、けがを防げる、腰痛がなくなるといった保証をするものではありません。
息こらえと血圧の関係には注意する
アメリカ心臓協会は、運動中の息こらえで血圧が上がることがあるため、呼吸を続けるよう案内しています。高血圧や心臓の病気などがある場合は、運動の強さや方法について医療者へ相談することも大切です。[3]
「この呼吸なら血圧は上がらない」という意味ではありません。医師から運動の制限を受けている方は、吸う・吐くの順番を変えるだけで、その制限をなくせるとは考えないでください。
うまく合わないときは、小さく分けて練習しよう
呼吸と動きを同時に考えるのが難しければ、重さや回数を増やすより、やることを減らします。以下は、基本の案内を練習に使うための本記事の手順です。全員に適する運動処方や、安全を判定するテストではありません。
① まず、動かずに「吐く」を確かめる
落ち着ける姿勢で、普段の呼吸から軽く息を吐いてみます。大きく吸い込む、最後まで絞り出す、長く吐く秒数を競う、といったことはしなくて構いません。
「息を吐こう」と考えるだけで肩が上がるなら、一度力を抜き、普通の呼吸へ戻します。呼吸そのものに苦しさがある場合は、スクワットへ進まず相談してください。
② 重りなしで、浅く下がって戻る
足元を片付け、安定した床で始めます。いきなり深くしゃがまず、無理なく動ける浅い範囲で、「下がるときに吸う・戻るときに吐く」を試しましょう。
呼吸を合わせるために動きを速くする必要はありません。かかとが浮く、ふらつく、腰や膝が痛む場合は、呼吸だけに集中せず、その動作を中止して負荷や方法を見直します。
立ったままのスクワットが難しい方は、椅子から始める立ち座りの練習で、椅子や動きの条件を先に確認できます。椅子を使えば誰でも痛みなくできる、という意味ではありません。
③ 合わせにくければ、続けて何回も行わない
一度立った所で動きを終え、普通に呼吸してから次を考えても大丈夫です。「10回終えるまで止まれない」と考えず、今できる動きで練習します。
例えば「下がるときは吸えたが、立つときに力んだ」と気付いたら、次は動きを浅くするか、いったん休みます。この気付きの例は架空のもので、特定の回数を達成するためのメニューではありません。
よくあるつまずきは、呼吸だけで直そうとしない
吸う・吐くが逆になってしまう
一度逆になったことだけで、運動の効果がゼロになった、必ずけがをする、と決めつける必要はありません。次の動きで基本の合わせ方へ戻せるよう、まず浅い動きでゆっくり確認します。
合わせようとして息が詰まるなら、そこで終えて普通の呼吸へ戻しましょう。何度も混乱する場合は、スタッフに軽い動きを見てもらうと、呼吸以外の力みも含めて相談できます。
立つときに、どうしても息が止まる
重りが重い、動きが深すぎる、疲れが残っているなど、今の負担を見直す余地があります。ただし、この記事だけで原因を断定することはできません。
息を無理に絞り出して同じ回数を続けるのではなく、重りを外す、動きを浅くする、回数を減らすなどを考えます。Mayo Clinicも、フォームを保てない場合は重さや回数を下げ、分からないときは指導者へ相談するよう案内しています。[2]
呼吸を考えると、かかとや腰の動きが気になる
呼吸のタイミングだけで、すべての姿勢の問題を解決しようとしないでください。足の位置や動きの深さなどは、別の確認が必要になる場合があります。
痛みはないけれど、かかとが浮いてしまう方は、スクワットでかかとが浮くときの確認順へ。痛みがある場合は、形を整えるために繰り返さず中止しましょう。
「お腹に力を入れる」と「息を止める」は同じ?
体の真ん中を安定させるため、お腹まわりの筋肉を働かせることを「ブレーシング」などと呼びます。難しい言葉ですが、初心者が最初から専門用語を覚え込む必要はありません。
大切なのは、呼吸を合わせながら、自分で制御できる動きや負担を選ぶことです。「お腹に力」と言われたからといって、肩をすくめ、腰を強く反らし、息を止め続けることを足さないでください。ACEの自重スクワットの説明も、体幹の安定と、下降時の吸気・上昇時の呼気を組み合わせています。[1]
高重量の動画とは、練習の条件が違う
高重量のスクワットでは、息をこらえて体幹を固める技術が話題になることがあります。しかし、この記事の「軽い運動で呼吸を続ける練習」とは条件が異なります。動画の見た目だけで、息を長く止める方法をまねしないでください。
重い重量へ進む場合は、持病や経験、扱う重さを踏まえ、専門の指導者へ相談します。この記事は、高重量での息こらえの実技や、その適否を判断するものではありません。
スクワットの呼吸で、よくある質問
鼻から吸って、口から吐かないとだめですか?
この記事では、鼻と口の使い方を全員共通の必須条件にはしていません。まずは苦しくならずに呼吸を続け、立つときに軽く吐くことへ意識を絞りましょう。医療者などから呼吸方法の指示がある場合は、その案内を優先してください。
何秒で吸って、何秒で吐けばいいですか?
秒数を厳密にそろえるより、無理なく動きを制御できる速さを優先します。吸い切るまで深く下がる、吐き終えるまで立たずに我慢する、といった合わせ方はしなくて構いません。
息を吐くと、お腹の力が抜けてしまいます
息を最後まで強く絞り出したり、動きが大きく崩れたりしていないかを見直します。まず重りなしの浅い動きに戻し、うまくいかなければ指導者に確認してもらいましょう。言葉だけで、本人の体幹の働きまで判定することはできません。
セットの途中で息が上がったら?
回数をそろえるために続けず、いったん休みます。次のセットまでの考え方は、筋トレの休憩時間と再開前の確認で説明しています。普段と違う息苦しさや胸痛・めまいは、休めば再開してよいサインではありません。
次の1回は、「立つときに吐く」を思い出そう
しゃがむときに吸う。立つときに吐く。難しければ、浅くする・休む・見てもらう。まずは、この流れからで大丈夫です。
呼吸が合わせられたからと、すぐに重さや回数を増やす必要はありません。姿勢や体調も合わせて確かめ、落ち着いて動ける練習を続けましょう。
参考資料と確認範囲
確認日:2026年10月21日。以下は医療機関・専門団体の一般向け指導資料です。「この呼吸法が全員に最適」と比較試験で証明したものではありません。浅い動きから分けて確認する手順や声かけは、本記事の実用的な整理です。持病・運動制限のある方の個別判断は担当医療者へ確認してください。
- ACE:Bodyweight Squat(更新日表示なし)。体幹の安定、下がる際の吸気・立つ際の呼気を参照。
- Mayo Clinic:Weight training: Do’s and don’ts of proper technique(2026)。持ち上げる際の呼気、下ろす際の吸気、息こらえを避ける案内、負荷調整。
- American Heart Association:Getting Active to Control High Blood Pressure(2025レビュー)。呼吸の継続、息こらえによる血圧上昇、持病がある方の相談。
- NHS:Chest pain(2023レビュー)。胸痛の救急判断。日本の救急番号に置き換えて記載。


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